■H28年5月24日(火)
講師:橋梁技研(株)代表取締役社長 杉本 博樹
「社内勉強会で強い組織を創ろう」
土木業界で着実に実績を積み、結果を出してきている企業です。土木業界は殆どが税金で作っている公共工事なので、独自色を出せない。他社との差別化を図った商品で受注を獲得するといったことができない。そうすると、どこで差別化を行うのか。企業は2つの選択を迫られます。価格優先か価値優先かの選択を。橋梁技研さんはそこで価値優先の道を選び、そのための会社作りに日々努力を重ねているとの事。自社が社会に提供できる価値とは何か。性格で迅速な仕事、多くの実績、安全・確実な施工、法令順守
、クレームへの対応力があると分析する。全てが人間性が深く関わるものばかり、そこから社員教育の必要性を意識し始めましたと。自社の強みを生かし、差別化を図るには常に変化が必要。停滞は価値損失につながるとの強い危機意識のもと、結果とプロセスの法則を学び結果を変えるにはプロセスを変えないといけない。そこには社員のスキルアップがかかせないとの事。社員一人ひとりの成長が会社組織の成長をもたらし、社会からの評価につながる好循環を生み出す。そのための社内勉強会は着実に結果を導き出しているようです。
現状維持からは何も生まれない。変わる勇気を持たないといけない。思考を変えることで物事を変えていける。常にその事を肝に銘じ、それが習慣になるところまで意識を高めていくことができれば結果は自ずと付いてくるように感じました。
H29年3月24日(木)
講師:株式会社 王宮 道頓堀ホテル 代表取締役 橋本 正権氏
『ありがとう経営で業績アップ』
ありがとう経営とは、ありがとうが響き合う会社と位置づけ、橋本社長がどのように会社づくりに取り組んできたかをお話いただきました。以前は会社の部門間の仲も悪く、社員も3か月に1人が辞めていくような会社だったとのこと。そうした中、理念と経営の勉強会の導入を強く勧められたが社員の辞めていくのが怖くて言い出せずに。でもこのままではダメだと思い、意を決して導入に踏み切る事に。いざ導入してみると、社員も受け入れてくれ、人間は成長したいという思いを皆持っていることに気付く。この時を境に社風が改善され、部門間の壁も取り払らうことに、13の徳目朝礼を導入することで更に社風が良くなったとのこと。改善のベースにあるのは、勉強会を通じて自身への承認がやる気を引き出すという点。人は承認されることで大きな力を発揮する。その力は会社の成長の大きな原動力になっている。その力を引き出す手法は「ありがとうカード」「バースデーカード」「社員への表彰」など多岐にわたって繰り出されていきます。これも橋本社長が社員に対する強い思いがあってこその取組みだと感じました。手間暇を惜しまない事が肝だと。その思いは必ず社員にも通じている。ただ、業績をアップさせるには社風改善だけではダメで、戦略も必要だと。社風と戦略の両輪が大事。戦略として①ターゲットのチェンジ②モノ売りからコト売りに③流通チャンネルのチェンジをかかげ「あったらいいな」を合言葉に外国の観光客向けのサービスへと方向展開し業績の向上を図る。しかし業績は上がったものの何か物足りなさを感じると、社員が楽しく働いていない。そうした中お客様のアンケートの中に「あなたのお蔭で日本を好きになった。」とあり、社員みんなが日本をもっと好きになってもらいたいと強く思うようになり、それが使命感となり更に意欲的に自発的に動くようになったそうです。
「心に残る思い出づくりのお手伝いをする」で全社員が一体となり同じ方向を向いて、もっと良いサービスはないか、お手伝いできることはないかと強い向上心で仕事に向き合う様が道頓堀ホテルの強みだと感じました。
■H29年6月22日(木)
講師:株式会社 黒田精機製作所 代表取締役社長 黒田 敏裕氏
『驚異の「品質」は「社風」から「品質至上」の追求』
黒田精機さんは、大手自動車メーカーのブレーキやエンジン部品を製造している会社です。特筆すべきは年間で7300万個の部品を製造している中で、欠品は121個。実に100万個に1個の割合でしか出ないとのこと。ではいかにそのような会社を築いてこられたのか。その当りの事を詳しく語って頂きました。会社の羅針盤となる経営理念を掲げられたのは日創研のTT講習を受けられた時で、今から22年前。『基本理念:品質至上』、『経営理念:良い品づくり、人づくり』と掲げたものの言葉だけだと感じ、言葉の意味を深めないといけないと、具体的な行動指針を示したそうです。「品づくり」:①省エネ②品質とコストの関係③魅力ある商品を提供し続ける。「人づくり」:①世の中の役に立つ人材の育成②技能・人格面での成長③物心両面の幸せ。理念に対し何をすべきかを明確に示す。やるべき行動を明確にする。この姿勢が黒田精機さんの強味を創り出していると感じました。そして社員さんに対する思い。人生の最後に満足いける人生だったと思える人生を送って欲しい。そのことを強く願うと語った言葉が印象的でした。ここに至るまでにはいくつもの大きな壁に直面し、その都度社員さんと共に乗り越えてきたとの事。そのエピソードも話して頂きました。中でも強烈なのはヨーロッパへの部品納入が順調に行き有頂天になっていた矢先、欠品問題が発生し、作れど作れど返品の嵐で創業以来の赤字に転落。そうした状況を打破したのは若手社員からの決意表明。これ以上この仕事を続けるなら社員みんな辞職しますと。黒田さんは覚悟を決めてヨーロッパへ渡り最後の交渉へ。見事問題を解決し、仕事の継続を勝ち取ることに成功。やはり社員が一丸となり「会社のために」との思いで動ける会社は強いと思いました。社長の背中を押してくれる社員さんがいてくれる事は心強い。この後は「ありがとう経営」が欠品を出さない話へと移っていきます。製造業でお客様から「ありがとう」って言われるの?と最初は戸惑いもあったそうですが、お客様から「ありがとう」って言われるにはどうすれば良いかをみんなで考えると、色々出来ることがあると気付いたそうです。全ての行動が「ありがとう」に直結する。その仕組みが確立していることが欠品を出さない大きな要因になっているようです。そして、その行動は自分の中だけで完結させず、チームで取組み、QCサークル大会として全社員で、その行動を発表し競い合う。とても刺激的な環境が用意されています。仕事は与えられるものではなく、自分たちで改善内容を考え、実行し、より良い成果を出す。そしてその成果を社員みんなで喜び合う。社員が一丸となり「ありがとう」のために何をすべきかを日々考え、行動し、改善し続ける。組織の力を十二分に発揮できる体制がここに確立されていると感じました。全ては数字が物語っています。
H29年10月25日(水)
講師:株式会社 蒲公英(たんぽぽ) 代表取締役 藤田 順也氏
『みんなで元気になる経営!』
蒲公英は、元々はお父さんのお店で17年前に今のお店に戻ってきたそうです。その当時は、お店が3店舗あり、客単価も2300円/人と安く、利益の出ない体質で、スタッフの入れ替わりも激しく人件費にも多くのお金が係っていたと。このままではダメだと思い軍隊経営に切り替え、見えとプライドのために店舗の拡大路線を突き進み、気付くと1億円の借金を背負うことに。その時SA研修を受け、20歳の時の初心を思い出したそうです。働く意味は①社員さんの笑顔のため②強くて良い会社を創るため③居酒屋の社会的地位を上げるためと。そして「愛・理念・ビジョン」で人を動かす経営へと舵を切り、理念経営への決意を固めます。それは、①経営者の器以上に会社はならない②健全な価値観の共有③経営理念の確立。経営理念を確立すると50%は成功と言われて確立したが、浸透することで初めて0%の成功となると気づき、浸透を図るために経営理念の見える化に取り組む。そして出来上がったのが「手帳」。ここには経営理念やスタッフの誕生日など大切なことがらが書き込まれ、手にしているだけで会社との一体感を感じられそうです。続いて組織とは何かについて、お話いただきました。「機能体組織」(昭和の時代:根性論で結果を求めるスタイル)と「共同体組織」(平成の時代:仲間を大切に楽しくスタイル)があると。そしていま、求められているのは昭和と平成の融合した組織創りだと。厳しい中にも、お互いに感謝し合い、支え合う社風を創り出す。そのための仕組みづくりが実に多彩にあります。ありがとう選手権や社内PSVなどなど。この取組みのベースにあるのが、物事はPDCAの内「P」で80%決まってしまうということ。まずは緻密な行動指針を立てる。その「P」が魅力的であればある程、もたらされる結果も魅力的なものとなる。魅力的な「P」から始まるPDCAのサイクルが実に有効に回っているのが蒲公英さんだと感じました。そして組織創りの根底にあるもの。それは藤田講師が社員さんの事を信用することから始まっているように感じました。社員さんが成長するために、何が必要かを考え、徹底的に時間を掛ける。人財育成の基本は会社のトップがいかに社員さんを信用し、社員さんのために時間を使っているか、そこが肝になるように感じます。最後に藤田講師が、こうしてこの時間ここに来ていられるのも、社員さんが働いていてくれるからと、涙目で語られた時は、蒲公英さんで働く人たちが、とても強い絆で結ばれていることを実感致しました。